先日、73歳の父親が詐欺に遭いました。
通常であれば、詐欺以外の何物でもないような誘いであるにかかわらず、父親は引っ掛かってしまいました。
以下はその時の記録です。
2022年3月8日
朝、父親(一人暮らし)からの電話が掛かって来ていました。が、気づきませんでした。
何やら急いでいたようで、普段はめったに連絡しない私の妻へ電話をかけます。
用件は、
『仕事の関係で、携帯で撮った免許証の写真をメールしなくてはいけないんだが、やり方を教えてくれ』
とのこと。
妻が電話で一通り説明したもののうまくいかず。
『docomoへ行けば教えてもらえますよ』とアドバイスしました。
その後、父親の近所にすむ甥の娘(大学生、私の従妹の娘)のところへ行き、教えを請いなんとか送信できました。
すると、『これで2億5000万円振り込まれる』と、謎のセリフを残し父は帰宅。
その謎のセリフを聞いて焦った従妹の娘は、慌てて妻へ電話。
『仕事関係って言うから、メールで写真を送る方法教えてしまったけど詐欺にあってるかも。。。』
妻から連絡を受け、父親に電話をして問いただしたところ、
『コロナの支援金で2億5000万受け取れるってメールがきたから、電話番号、口座番号、免許の写真を送った。すぐ振り込むって言ったのに振り込んでこん!!』と怒り心頭。
まだお金は払ってないとのことだったので、
『それは詐欺で金は受け取れないから、今後何か請求されても絶対払うな!!』と伝えました。
実は、従妹の娘の前に妻に言われた通り、docomoへも出向き、教えてもらおうとしたが、docomoでも
『これは詐欺だから送信したらダメです。』と諭され、送信方法は教えてもらえなかったとのこと。
通常であれば、添付ファイルのメールでの送信方法を教えた上で、『送信したらダメ』と言われるのでしょうが、docomoのお姉さんも『こいつに教えたら止めても送るな、、、』と考えたのでしょう。
この点はdocomoのお姉さんのファインプレー。
この日はこれで終了。
2022年3月20日 父親からの電話
こんなやり取りも忘れていた2週間たった3月20日の日曜日。
朝の7時に父親からの電話、
こんな朝から何事だ、、、
『大変なことになった!!
3億6000万振り込まれた!!
これから毎月400万振り込まれることになった。
所得税も向こう持ちでこっちには一切税金がかからん。
渋沢栄一のひ孫と知り合った。
世界中の金持ちだけが入れるセレブリティ―の会のメンバーになった。
志村けんの代わりに若い女のパートナーになった。』
とにかく興奮している様子で、言っていることがさっぱりわからない。
そもそも金額(2.5億 → 3.6億)、内容(コロナ支援金 → 謎のセレブリティの会)が変わっている。
完全に別の詐欺に掛かってますやん。
とりあえず、「本当に3億6000万円銀行に入っていたのか?」と、問いただすと、
『昨日の夜、振り込み完了のメールが来た。休み明けに確認しに行く。』とのこと。
「まさか、手数料とか言われて金払ってないよね?」と、問いただすと、
『受け取りに必要って言われて、5千円とか1万円とかを何回かに分けて6~7万払った。
いやー俺も苦労してきたけど人生の最後にこんな夢のような逆転が待っていた。
あのときお前とかdocomoのやつの言うこと聞いて諦めてたらチャンスを逃していた。
今のうちに土地探そう。お前の家のローンあといくらあるんだ?
それも俺が払うぞ。』
興奮冷めやらぬ感じで、次々と大金の使い道について語ってきて、抑えきれないわくわくが溢れ出している。
『こんな嘘のような話がほんとにあるんだなぁ。』
「お喜びのところ申し訳ないが、それ全部詐欺だからお金も入金されてないし、毎月400万円も振り込まれることはない!」と、伝えたが、
『こんな人たちが何千円、何万円の端金を請求してくるはずがない。』
渋沢栄一のひ孫とパートナーになる女性の凄さを延々と語ってくる始末。
『中の人』という概念がなく、実際にその2人とやり取りを行っていると信じ切っているようだ。
「税金肩代わりしてまで何億もくれる人たちが、何で数千円、数万円の手数料要求して来るんだよwww」
と言ってみるが、まったく聞く耳を持たない。
始めて詐欺に遭ってる人を目の当たりにしたが、ここまで凄まじく洗脳されるものなのか。
詐欺がなくならないわけだ。。。
説得は諦め、休み明けに一緒に銀行に行くことを約束し、この日は終了。
電話を切った後、ちょっと調べるとすぐに情報が出てきたので、とりあえずLINEを送っておいた。
既読はついたが反応なし。
参考:
被害の報告 ダメージレポートサイト
Planet Links(プラネットリンクス) SMS迷惑メール 詐欺サイト
https://sagi-information.website/?p=8251
2022年3月22日 福岡県警 春〇警察署へ
休み明けの火曜日の朝、今から向かう旨を電話で伝えると、
『昨日、国から1億5000万振り込むから、手数料8,000円払えってメールが来たからカード情報入力したけどエラーになって払えん。』
新たな詐欺の予感
『持っている4枚のカード全部入力してみたがどれもエラーになる。』
「4枚全部逝ったんかい!!!!!!」
名義、カード番号、有効期限、セキュリティコードすべて入力したとのこと。
フィッシングで思いっきりカード情報抜かれた可能性が高い。
父の家に到着後、すぐにカード会社に連絡し、4枚カードすべて止めてもらったが、普段使用してないカードの今月の請求が17万あるとのこと。
これより以前にもカード情報を入力して情報を抜かれたのだろう。
明細確認後身に覚えがなければ連絡するように言われた。
残り3枚は『電話では使用状況をお伝え出来ないため、明細送付後に覚えのない請求がある場合はサポートセンターに連絡するよう』に言われた。
スマホを確認すると、確認できただけで3つの詐欺に並行してかかっているようである。
詐欺の三刀流。
大谷越え。
詐欺界のロロノア・ゾロ。
お金に困ったらこいつにSMS送ろうかなとさえ思わされる。
警察に連絡すると、とりあえず来いとのこと。
警察へ行く途中、銀行に寄り、口座から金を抜かれたりしていないことは確認できた。
当然、3億6000万も振り込まれてはいない。
指定された、福岡県警 春〇警察署に行き、数万円払ってしまったこと、普段使用していないカードの請求が17万円あることを説明するも、
『お父さん。そんなうまい話は絶対に無いんだから信じたらダメですよ。
今後、メールでお金あげますって言われても絶対相手にしたらダメですよ。
盗られたものはどうしようもない。
被害があったという記録は残しときます。』
と、ニヤニヤしながら言われ、
『被害があったという記録は残しときます。』
と言われ、調書(?)を取られ終了。
まあ、被害額が20万~30万程度であればこんなものか。
ただ、受付の段階から『誰が対応する?』みたいな相談を目の前でされ、詐欺の担当が決まっていない様子。親身になって対応しようという雰囲気は一切感じられなかったので、『老人が詐欺に遭った』ぐらいでは大した対応する気はないのであろう。
帰りに昼食を食べていると、
『こうやって好きなもの飲み食いできるだけでも幸せと思って、分不相応に贅沢しようとか考えたらいかんなー』
と、しみじみ語っていた。
それでも帰り際に
『ずっと続けてれば誰か一人ぐらい本当にくれるかもしれん』
と、わけのわからないことを言っていた。
今後の対応
ひっきりになしに迷惑SMSが届く携帯の解約からの新規契約、
念のため教えてしまった口座の解約、
カードは明細を確認後、おかしな取引があればカード会社に連絡。
まとめ
まさか自分の親がこんなくだらない詐欺にかかると思っていなかった。
高齢者を狙った詐欺はよく聞くがテレビの中の話。
いつの間にやら自分の親がそんなものに掛かる年齢に。
自分の親は大丈夫!!と、過信せず、高齢の親が離れて暮らしている場合は気を付けてあげましょう。
おまけ 2日後(3月24日)
『6億1000万振り込まれたぜ!
昨日からやり取りしよった奴から振込完了のメールが届いた。
今回のはそーゆうのじゃない。
今現在困窮してる人とか、過去に詐欺に遭った人に対する国際的な機関からの支援。
ALIA国際協力支援相談センターっていう機関で、怪しい機関じゃない!』
検索してみると、しっかりと怪しさしかない機関。
参考:
被害の報告 ダメージレポートサイト
kudos(クードス) SMS迷惑メール 詐欺サイト
https://sagi-information.website/?p=10695
『さっき銀行に確認に行ったら窓口の女が、”そんな振り込みはあっていない”、って隠して引き出させてくれん!!』
銀行の窓口が隠すってどんな状況だよ、、、
『ずっと続けてれば誰か一人ぐらい本当にくれるかもしれん』
↑ これを実践しているのか!?
完全に詐欺師たちのカモリストに入ってしまっているようなので急いで携帯を解約せねば。
今回のやり取りを動画にしました。
https://www.youtube.com/watch?v=iNzit7C1-xU&t=6s
コメント